いまやアジア諸国に工場をつくることが常識となりつつありますが、私たちは絶対に海外に工場をつくりません。価格競争ではなく、品質の競争で圧倒的に勝つためです。そして、なにより私たちはものづくりが好きだから、自分たちの手でつくりたいんです。
インモールド工法とは、「金型内にフィルムを挟み込み、成形と同時に加飾を行う工法」です。これまでは、プラスチックを金型で成形して、その後に柄をプリントをするという手順を踏んでいましたが、それを一つの工程で実現できるようにしてしまったのです。私たちが生み出したこの世界初の技術は、ケータイ電話のマーケットとものづくりの常識を大きく変えました。
私たちは一つの業界での成功に安住しません。インモールド工法という技術を軸に新たなチャレンジを続けます。次にチャレンジするのは自動車業界。まだ具体的なことは書けませんが、これまでの常識を覆すような企画・技術開発にすでに着手しています。近い将来、自動車業界を大きく賑わしていることを想像するとワクワクがとまりません。
プラスチックの可能性をもっと広げたい、自分たちの技術の可能性をもっと広げたいという想いで自社ブランド製品を開発・製造しています。著名なデザイナーとコラボして開発したカードケースは、海外の展示会でも高く評価され、数万点の展示商品の中から海外デザイナーが選ぶ50品目に選出されました。カードケース、デザイントレー。さあ、次はどんな製品が開発されるか、ぜひ楽しみにしていてください。
2006年、東京都にある数十万社のものづくり企業の中から、たった1社だけが選ばれる「東京都ものづくり人材育成大賞」を受賞しました。実はこれ、自ら応募したのではなく、墨田区からの推薦でエントリーされており、受賞を知った時は本当に驚きました。技術力の源泉は人です。人が育つ環境と仕組みを評価されたことは、私たちの大きな誇りです。
今から20年以上も前の話です。
誰もが知っているフランスの世界的アパレルブランドから、ある日、電話がありました。「自分たちが理想とする化粧品コンパクトをつくるために、調査・研究をしていくと吉田の技術と特許なくしては実現できないことがわかった。だから、つくってほしい」と。電話から数日後、フランスから墨田区まで私たちを訪ねてきました。そのコンパクトはいまでも世界中の女性たちに愛されています。
2015年。設計部門のある社員が、「製造現場の人と、もっと技術について議論できるようになりたい。現場の技術的な観点からもお客様に提案ができるようになりたい」という想いで『射出成形技能検定』を受けたんです。実はこの検定、本来は設計部門ではなく、製造工程を担当する技術者が受験するもの。合格するだけでも珍しいのに、なんとその年で1名しか選ばれない最優秀賞を受賞しました。
イスラエルのとある会社から、驚くような問い合わせをいただきました。「予算がいくらかかっても構わないから、まだこの世にないスマートフォンをつくりたいんだ」と。詳細を聞いてみると、実現するには相当な技術力とかなりの工数が掛かることがわかりました。世界で最も高付加価値なスマートフォンの開発に携わる仕事。お断りするわけがありません。現在、鋭意開発中です。
実は私たちが自動車業界に進出するキッカケとなったのは、アメリカ・デトロイトのとある自動車メーカーからの問い合わせなんです。詳しくは書けないのですが、自動車を構成する部品の中の一部分をこれまでとはまったく異なる工法でつくりたいと。それを実現するには私たちが得意とするインモールドの技術が必要だと。数年後、自動車業界を賑わしていることを想像するとワクワクがとまりません。
新商品が発売されると世界各地で店頭に行列ができる世界で最も有名なデジタル家電メーカーから次世代スマホの開発にあたり協力をしてほしいと依頼をいただきました。しかし、その内容が、中国に生産拠点を構えることを前提とした依頼だったこともあり、私たちのポリシーに合わないので、私たちは迷うことなくお断りしました。
インモールド工法を基軸に、私たちは技術を進化させ続けています。その進化の歴史はいうまでもなくチャレンジの歴史であり、同時に失敗の歴史でもあります。世界ではじめての技術ですから、社外秘であることはもちろん、ものによっては社内でも開発した本人しか知らない段階の技術もあります。当社に入社するということは、自分の力で世界初を生み出すチャレンジをするということでもあるのです。